アトピーの歴史

アトピーというと、急速に普及してきた病名のように感じます。

 

最近、アトピーの患者さんが急激に増えているので、
マスコミなどにも多く取り上げられていています。

 

しかし、アトピーは、古くからある病気です。

 

現在のアトピーは、以前は播種性神経皮膚炎、体質性湿疹、
屈側部皮膚炎、湿疹・喘息・痒疹症候群というように、
いろいろな国で、いろいろな病名で呼ばれていました。

 

1890年ごろに、ヨーロッパのベニエという教授が、
湿疹や皮膚炎などの症状の中でも、
この病気はとても独特で、
赤ちゃんのときから湿疹が出はじめることが多く、
強い痒みを伴い、顔や首、口の周り、
肘のくぼみや膝の裏、足首などに
湿疹、苔癬化病変が起こりやすい病気であること、
しかも、喘息や鼻炎とも深いかかわりがあることを報告しています。

 

そのため、当時、ヨーロッパでは、このような疾患を
「ベニエ痒疹」という病名を用いていました。

 

その後、1923年に「アトピー」という概念が議論されるようになり、
1930年代になって、アメリカのザルツバーガー教授らが
この病気の基本的な特徴をまとめ、
それらの症状が出る病気を「アトピー性皮膚炎」と呼ぶことを提唱しました。

 

その後、徐々にアトピー性皮膚炎という病名が
世界的にひろがっていきました。

ザルツバーガー教授によるアトピーの定義とは

(1) 家族の中に、喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎の人がいるかどうか。

 

(2) 赤ちゃんのときから湿疹ができやすい。

 

(3) 肘のくぼみや膝の裏、首、胸、顔、目の周りなどに湿疹がよくできる。

 

(4) 肌が乾燥して痒く、ひっかくことによって
   皮膚が全体的にくすんで色素沈着がおきる。

 

(5) 血管運動神経の不安定性や易刺激性(自律神経)。

 

(6) 環境タンパクアレルゲンや食物アレルゲンに対しての皮膚試験で、
   多くが陽性になる。

 

(7) さまざまなアレルゲンに対して、即時型反応を引き起こす物質が、
   患者さんの血液の中に存在する(IgE)。

 

 

今も昔も、アトピーはヒトにとっても大きな問題です。

 

ちなみに、日本で「アトピー性皮膚炎」という病名が普及したのは、
1960年代以降で、それまでは、「ベニエ痒疹」と呼ばれていました。